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天然素材はもうひとつの「肌」
眠るとき必要なのは「吸水性」ではなく「吸湿性」
ポリエステルやアクリル、ウレタンなどでつくられた化繊の寝具は、一見快適そうに見えますが、実際には寝冷えやムレ、静電気など様々な問題を引き起こし、心身を疲弊させてしまいます。
一方、綿や絹、羊毛やキャメル毛、羽毛などの天然素材でつくられた寝具は、水を弾きながら湿気だけを吸収する特質を持ち、まるで呼吸するかのように自然な温度調整を行い、至福の眠りへと誘ってくれます。
不思議なのは、綿、羊毛、キャメル毛などの天然素材に水滴を垂らすと、油脂分によって水は見事に弾かれ、水蒸気状の水分だけを取り込むこと。
この機能が寝具にとって非常に重要です。なぜなら、寝ているときの汗は「不感蒸泄」(ふかんじょうせつ)と呼ばれる、額からしたたり落ちるような汗ではなく、水蒸気状のものだからです。
天然素材は、水は弾き、湿気だけを取り込むことで、一晩にコップ一杯と言われる寝汗を吸収し、寝床の中の温度と湿度を絶妙に調整してくれます。
化繊の寝具は、外気と肌の間に「壁」をつくって閉じ込めますが、天然素材の寝具は、もう一つの「肌」の役割を果たしてくれるもの。
そもそも寝具は、皮膚の延長線上に生まれたものだと考えれば、どちらが快適かは言うまでもないですね。
さて、ここからは余談となりますが…
我々の業界では「吸水性」と「吸湿性」と混同されることが非常に多いです。
特に化繊素材でつくられた寝具の説明では「吸水性がすごいでしょ!」などという言葉がよく使われますが、眠るときに必要なのは「吸水性」ではなく「吸湿性」となります。お間違いのないように…