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北海道行脚

命あっての物種

── こんなことなら出張、取りやめたら良かった…

頭の中を後で一杯にしながら、夜の道央自動車道を函館方面にひた走る。

旭川を午後3時過ぎに出発、長万部辺りまでは順調そのものでした。

それが、函館まであと100キロ余りというところまで来て、凄まじいゲリラ豪雨に遭遇。ワイパーをマックスにするも滝に打たれるような凄まじい雨と、道路から跳ねあがってくる激しい水しぶきに、視野狭窄(しやきょうさく)のような状態に…。

おまけに時々、閃光と共に五臓六腑を震撼させられるような雷の轟音が貫き、車の目と鼻の先に何度も落雷。生きた心地がしないとはまさにこのことでした…。

ことの発端は2018年9月4日。迫りくる台風21号から逃れるように関空から新千歳に向け飛び立ったまでは良かったのですが、新千歳からレンタカーを借り、札幌の得意先を訪問後、旭川に向け出発する頃には、関空連絡橋にタンカーが衝突し、大変な事態に陥っていることを知りました。

── こんなははずじゃなかったのに……。

今回の出張は、レンタカーで二泊三日で札幌~旭川~函館の得意先を訪れた後、再び新千歳から関空へ戻ってくるという強行日程でしたが、正直、心の中は往年のロードムービーの名作『幸せの黄色いハンカチ』の高倉健さんになったかのような気持ちで浮かれていたことは否めません…。

日程通り関空に帰ることは、ほぼ絶望的な状況でしたが、ことのときは無事、函館に着くことだけに集中し、前方者のテールランプにすがりつくように走り、何とか函館の安宿に到着することが出来たのでした。

新千歳~札幌~旭川~函館と走行距離は約650km。台風21号も北海道に来る頃には
すっかり温帯低気圧になっていると油断していました…

しかし、ホッとするのもつかの間、明日のフライト予定を確認すると、案の定、搭乗予定のピーチ便の「欠航」が確定しており、慌ててスマホで航空券を取り直す羽目に…。

疲れた体にムチ打ち、スマホと格闘しますが、伊丹や新神戸の便は既に満席。仕方なく、中部国際空港経由をあたってみると、わずかながら空席があり、直ぐ、航空券を確保。コンビニ決済で代金を支払い終える頃には深夜0時を回った時間になっていました。

やれやれ、これでようやく安心して眠れる…。

極度の疲労と安堵感が入り混じり、大きな被害が出ている関西の状況が気になりながらも眠りに就いた矢先の夜中の3時過ぎ、震度5弱の大きな揺れに飛び起こされました。ご存知、北海道胆振東部地震でした。

しかし、ここまでくると、人間根性が座るものです。明日の便が通常通り運行するのか、新千歳まで道央自動車道が通行止めにならないかと心配しても仕方がない。「明日は明日の風が吹く」とばかり、強烈な睡魔に襲われ、再び眠りに就いたのでした。

目覚めると、ホテル内も自家発電で賄える最小限の電力のみで営業されており、函館全域どころか北海道全域が停電していることを知りました。

薄暗い部屋の中、かき集めるように支度された質素な朝食をとった後、函館の得意先に連絡を取ると、関空に続き新千歳までもが機能不全に陥ってることを知り、再び航空券の取り直しを余儀なくされたのでした。

しかし、不幸中の幸いは、函館空港がかろうじて機能していたこと。まずはレンタカー業者に、新千歳に返却予定だったレンタカーを函館に乗り捨てに変更可能かを確認。通常は1万円ほど掛かるが、非常事態なので無料で対応しますとの心強い返事をもらいました。

再びなれない操作でスマホと格闘し、函館~伊丹間をあたりますが、当然ながら満席。これは新神戸をあたってるうちに中部も満席になると思い、函館~中部で探すと、わずかながら空席があり、クレジット決済で航空券を確保。何とかその日のうちに名古屋経由で大阪に戻ることが出来たのでした。

大阪に戻ると、自宅のベランダのトタン屋根が吹き飛んでいたり、泉州や京都、和歌山方面の得意先にも台風の大きな被害が出ていたことを知りました。

こちらはこちらで大変な目に遭いましたが、台風直撃を受けた関西の方々も本当に恐ろしい体験をされたんですね…。

今回の出張で肝に銘じたのは、台風が接近しているときは、二度と…いや、絶対に出張に出ないということ。「命あっての物種」という言葉を、これほど噛みしめさせられた旅はありませんでした。

皆様もどうか、台風接近字は、旅行や出張などは絶対にお控えください。

伊達市幌美内町・有珠山SAからの眺め。このあと、壮絶なゲリラ
郷府に遭遇することになるとは…

北海道で苦楽を共にしたXV。スバル自慢の運転
支援システム「アイサイト」搭載で長距離運転も
快適でした

地震の影響で街全体が停電に陥り、閑散とした函館市街

(今回のお話は2018年『眠りの楽屋裏通信vol.59』に掲載したものです)。

追記

函館空港近くの支店にレンタカーを返却する際、「満タン返し」するため、スタンドに寄ろうとすると、数百メートルに及ぶ長蛇の列をなしており、フライト時間が迫る中、断念せざるを得ませんでした。仕方なく、実費精算して欲しいと申し出ると、「新千歳支店長から、こういう事態ですから、乗り捨て料もガソリン代も一切頂かないよう指示を受けております。また、パジェットレンタカーを宜しくお願いします」と、さわやかな笑顔でいい放つではないですか。

ガソリンも半分以下、函館から新千歳に車を戻すにもそれなりのコストが掛かるはず。ましてや震災による交通網の寸断されており、儲けが出るどころか大赤字です。

この対応のすばらしさには、同じ商売人として感服させられ、次に行った九州出張も同じパジェットレンタカーを利用させてもらいました。

遠い旅先で、しかも、今回のような災害に見舞われ、不安に陥ってるとき、このような対応は、本当に心があたたまる思いがしました。

この場を借りて感謝の気持ちをお伝えさせていただきたいと思います。