©2023 Tani-Roku Futonya KUGA
コロナ禍の希望の光
ま、まだ、心の準備が…、。。(汗)
「すぐに来て!」
切迫した声で病院にいる嫁(様)から呼び出されたのは、年末に差し掛かった11月末のことでした。
予定日は12月初旬でしたが、1週間前の今朝、破水があり、外回りの予定をすべてキャンセルし、嫁(様)を病院まで送った後、何も手につかないまま自宅待機。
夜の11時になってようやく、その連絡が入ったのでした。
病院に着くなり、
「ご主人様は、ここでお待ちください」
と助産師さんからの指示がありました(そこが分娩室前だったことは、後から知ったのですが…)。
このコロナ禍で、面会は完全謝絶、立会いも難しいと病院からお達しがあり、恥ずかしながら、内心、ほっとしていたというのが正直なところでした…。
こういうシーン、ドラマで何千回見たことか。
オロオロと落ち着かない様子で待機する男。
そこに、「オギャー、オギャー」という産声が病院内に響き渡り、「おぉ、産まれたか!」と、涙ながらに喜ぶ男。
まさか、自分がこの歳になって、それを体験することになるとは思ってもいませんでしたが…。
しかし、出産までは長いひとは、10数時間掛かることもあると聞いていたので、ここからが長丁場。
この場で一夜過ごす覚悟も決めていましたが、ものの20分も経たぬうち、中に入るよう声が掛かり、面喰いました…。
「えっ、もう中に入るの?」
「生まれるまで、ここで待っていればいいんじゃないの?」
まさか、立会うとは想定してなかったので、嫁(様)に何と声を掛け、何をすればよいか、まったく見当が付きません…。
よしんば立会うにせよ、
「本当に、その覚悟があなたにありますか?」
「その選択で大丈夫ですか?」
「ファイナルアンサー!?」(古すぎですね…)
などと、こちらの意思を念入りに確認してくれるものと思っていたのですが…。
ち、ちょっと待って、ま、まだ、心の準備が…、。。(汗)
なかなか決心がつかず、入口付近で躊躇していると、再び有無を言わさぬ助産師さんからの指示があり、分娩室に入ると、嫁(様)は、既にベッドにスタンバイしており、こちらに気付くと、不安と安堵が入り混じった顔で、精いっぱいの笑みを浮かべました。
「どや、大丈夫かー!?」
「さすがにきつい…」
「頑張れよ…」
ほんと、男に言える台詞はそれくらいのこと…。
時折、陣痛の痛みにかをを歪める度、初産の嫁(様)がどれほど不安だったか想像すると、先ほどまでの自分が恥ずかしくなり、一部始終を見届ける覚悟が決まりました。
────それからのことは、余程テンパっていたのか、正直、あまり覚えていないのですが、確かなことは、翌日深夜12時31分、新たな生命が誕生したということ。
陣痛から出産まで2時間半ほど。
周囲が拍子抜けするくらい安産でした(住吉さんに安産のお参りに行ったお陰ですね)。
「おめでとうございます。3千200g、男の子です」
「よく頑張ったな…」
「うん…」
嫁(様)のお腹の中で約10カ月。
ようやく対面することのできたわが子は、オギャーオギャーと泣き叫び、この世に生を受けたことを未だに受け入れられず、戸惑っているかのようでした。
母子共に無事、生まれてきてくれたことに感謝していると、助産師さんから抱いてみるよう促され、恐る恐る抱きかかえてみると、ズッシリ重く、責任の重さを痛感しました。
しわくちゃの猿のようなかをしたわが子、名前を「ハヤト」と命名しました。
これを書いてる時点で月例7カ月半。
身長65.5㎝、体重8.5kg。
これまで友達が自分の子どもを可愛がる姿をみて【親バカ】と呆れていましたが、いざ、自分の子どもができるとやはり可愛いものですね。
コロナ禍真っ只中に生まれた、わが家の希望の光です。
(今回のお話は、2021年 『眠りの楽屋裏通信』vol.63に掲載したものです)
追記
このとき誕生したハヤターも現在3歳8カ月。立派な“悪ガキ”に成長しました!^^
#コロナ禍 #安産 #立会い出産 #初産 #親バカ