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別れのプラットホーム
「オレが悪かった…。戻ってこーーーい!」
「早く寝んと、明日置いてくぞ!ひのとり、乗れんでもええんか?」
「いやや…。はやちゃんねる~」
先週末、電車好きなせがれをそう言ってまんまと早く寝かせつけ、翌日、大阪難波9時発、せがれが乗りたがっていた近鉄特急「ひのとり」に乗車し、名古屋まで行ってきました。
目的は、昨年秋に誕生した娘のフーカーのお披露目を兼ね、嫁(様)の実家がある長野へ帰省させるためですが、僕は仕事があるため、名古屋で特急「しなの」に乗り換え、見届けたところでお役目御免、大阪にトンボ帰り。
指定席まで荷物を運んだら列車から降り、プラットホームで一人お見送り…。
1カ月近く滞在するため、正直、こちらもちょっぴりセンチメンタルな気持ちになり、前の晩こんな会話をせがれと交わしていたことを思い出します。
「明日で父ちゃんもしばらく見納めやでー」
「えー、とうちゃん、いっしょにいかないのー?」
「あぁ、父ちゃんは仕事があるからお留守番や。寂しいか?」
「…さびしい、とうちゃんもいっしょにいこ?」
「すまんなぁ、一緒に行くことはできんのや」
「いやや、いっしょにいこーよ~!」
「すまん、はや坊…それは無理なんや…」
昨夜のことを考えると、ここからドラマチックな別れになる予感がしていました。
13時発の特急「しなの」長野行。発車アナウンスが流れ、発車音が鳴り響いてドアが閉まり、泣きじゃくるせがれを必死になだめる嫁(様)の姿に、心が打ちのめされそうになる僕。せがれはこぼれ落ちる涙を拭おうともせず、小さな手を車窓に重ね、「とうちゃん、とうちゃん…」と何度も呼びかけますが、こちらの声は、届くはずもなく、列車が動き出すにつれ、せがれの瞳に映る僕の顔は次第に遠ざかり、視界から消えていく…。
別れのプラットホーム、そんなドラマのワンシーンのような別れを思い浮かべていました。
しかし、現実は小説とは異なるものでした。
泣きじゃくるどころか、まるで保育園のお友達への別れ際の挨拶…。
軽く手を振り、「バイバーイ!」と、清々したかのような満面の笑顔…。^^
せがれにとって、とうちゃんとのしばらくのお別れより、「しなの」に乗れたことのワクワク感が完全に勝っていたよう。^^
まぁ、それはそれでしょうがない…。
さ、かえろ、かえろ…。
3歳半を過ぎた頃から、一人で過ごせる時間も増えていき、せがれも着実に成長している証、それは親として喜ばしいことだと考えるようにしました。
───大阪に戻って静まり返った自宅に戻ると、手狭だと感じていた部屋が家族がいないだけでこんなに広く感じるのか、嫁に逃げられてしまった旦那の気持ちとはこういうものかと思い知らされ、長野方面に向かいこう叫びたくもなります。
「オレが悪かった…。戻ってこーーーい!」
(いや、逃げられたわけではないですよ、ホント…^^)。
約1カ月後戻ってきたとき、もしかしたら父ちゃんのことをすっかり忘れてしまっているのではないか、そんな不安に苛まれながら毎日を過ごしています。^^
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おまけ…