©2023 Tani-Roku Futonya KUGA
捕まったのは自分の車!?
「運転手さん、ちょーっとスピードが出ていたようですね」
それは、得意先のNさん夫妻を乗せ、八尾~富田林方面に外環を南下していたときのこと。
高安を過ぎ、JR高架までの区間はスピード違反検問、いわゆる「ネズミ捕り」をよくやっており、地元ドライバーなら制限速度を順守する危険地帯であることはよく知られている場所でした。
この日は、すっかり日も暮れ、遅くなっていたこともあり、この時間ならまず大丈夫だろうという油断があったことは確かでした。
よく検問している付近を通り過ぎ、やや気持ちが緩みました。
「この辺は、ほんまにようネズミ捕りをやってるんですわ~」
車を走らせながら、Nさんとこそんなやりとりをしていました。
「ほら、あの辺の茂みに姑息に待ち伏せしとるんですよ。こんな直進道路で飛ばしても安全なところで…」
と、言いかけたその刹那…
ウゥゥゥゥゥ~~~~~~~~~ッ
赤い閃光とけたたましいサイレンが耳に届いてきました。
しかし、その時になっても、まさか自分が捕まるとはつゆほども思っていませんでした。
何せ、得意先を乗せているため、制限速度50kmのところを65kmくらい、夜8時を過ぎた時間帯を考えると、十分慎重に走っているつもりだったからです。
しかし、「つもり」では警察は許してくれないことを後で思い知らされることに。
「あれっ、どっかの間抜けな車がとっ捕まったみたいですね~」
「ほんまやな、どこやどこや??」
今から思えば、ほんとすっとんきょうなやりとりでした。
しかし、辺りを見渡しても、他に車は見当たらない。
そのときになり、ようやく頭の中に嫌な予感が駆け巡りました。
ま、まさか…。
「そこの白い軽自動車、速度を落として路肩に停車しなさい」
無情にも、その赤い閃光は一直線に近づき、間違いなくこちらに向かってそう言い放ったのでした。
どうやら、右折して外環に入ったところから、白バイ隊員に尾行されていたようです。
消灯していたのか、うまく死角になるよう追尾していたのか、まったく気付きませんでした…。
愚かにも、それでもまだこれは何かの間違いだろうという疑念を拭いきれず、Nさんたちも同じ様に感じていたようです。
路肩に車を停めると、白バイ隊員がゆっくりとこちらに近づいて、おもむろに窓ガラスをノックしてきました。
「運転手さん、“ちょーっと”スピード出ていたようですねぇ」
や、やっぱりスピード超過か…。
しかし、この【ちょーっと】の部分のアクセントを微妙に強調し、わざとらしいジェスチャーを絡めるあたりが小憎たらしい…
。
空しい抵抗だとは知りつつ一応とぼけてみる。
「えーっ!?そんなに出てたかなぁ…」
「50kmのところを67kmで走っておられましたね。お急ぎのところ大変申し訳ありませんが、免許証の方を拝見できますか?」
言葉遣いこそ丁寧ですが、有無を言わさぬ圧力がその口調に込められていました。
結局、法定速度を15kmオーバーのスピード違反で2点減点(正確に言えば累積)、1万5千円の反則切符を切られてしまうことになったのでした。
★
この後、Nさんに中華料理をご馳走になった上に、反則金分のお金まで差し出そうと気遣ってくれました。
もちろん、そこまでしてもらっては…と何度も何度もお断りしましたが、頑として出したお金を受け取ろうとせず、最終的に受け取らざるを得ないことに…。
Nさんへの申し訳なさと、自分の【どん臭さ】を痛感させられる出来事でした。
それにしても、胸に手を当て考えると、免許を取得して20年余り、ゴールドカードというものを一度も取得したことがありません…。
今後は心を入れ替え、5年間無事故無違反、安全運転を心掛けたいと思います。
皆様もどうか僕のようなヘマしないよう、車の運転にはくれぐれもご注意ください。
(今回のお話は2012年『眠りの楽屋裏通信』vol.38に掲載したものです)
#白バイ #白バイ隊員 #スピード違反 #反則切符 #ネズミ捕り