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ふとんとカビについて
カビの健康被害、大丈夫?

毎年、梅雨のこの時期になると「敷ふとんやマットレスの裏、スノコにカビが生えた!」というご相談があります。
多くの方が真っ先に心配されるのは健康被害ですが、ご安心ください。少量であれば、その心配は無用です。
もちろん、決して気持ちの良いものではありませんが、寝具にはカビの栄養になるものが少なく、大抵の場合、発見時には既にカビが「死滅」しているからです。
大量のカビが広範囲に発生し、それが数カ月も続くような状況でなければ大丈夫。もしそんな状態なら、カビ特有の嫌な臭いがするので、すぐに気付くはずです。
なぜ、こんなことを断言できるのか?
それは数年前、私たちふとん屋の会で、カビの専門家で大阪市自然史博物館の客員研究員で農学博士の浜田信夫先生から直接お話を伺う機会があったからです。
先生はおっしゃってました。
「ネットの情報はもちろん、テレビの情報もデタラメが多い…」
今回の話は先生が数十ネの歳月をかけてご自身で調査・研究された事実に基づいているので、自身を持ってお伝えできます。
カビだけでなく、ダニなどの害虫についても、企業は広告やCMで過剰に不安を煽ることで収益を得る構造があるため、そういった情報を鵜呑みにしないことが大切だと思います。
ただし、カビはちょっと「超高級志向」な一面も。寝具に限らず、建材でも化繊やプラスチックなどの人工物よりも、天然素材のような高級なものを好む傾向があります。
それは当然ですよね。人間が心地よいと感じる環境は、カビにとっても心地よいはずですから。
以下、浜田先生から伺った話の中で特に印象的だった点をご紹介します。
寝具の場合、カビが発見されたとき、大抵の場合、カビは死んでいる
同じ環境下で暮らす限り、カビの問題は再発しやすい
カビが発生した場合、8割は住宅環境が原因。生活者や寝具のせいでないことが多い
新築の建物ほどカビは生えやすい(数年経つと、接着剤などが乾燥し減少する)
大量のカビが長期間発生しない限り、健康被害の心配はほぼない
日干しと陰干しした場合比べると、カビや大腸菌、ダニの発生率はほぼ変わらない(紫外線効果を過信してはいけない)
マンションや一軒家でも下層階より、高層かいになるほどカビの発生数は少なくなる
押入れでも下段と上段では湿度が大きく異なる
山の斜面や窪地等は湿度が高く、カビが発生しやすい。斜面は下に水脈が走っているので湿度が高くなる(ただし、頂上部分は唯一湿度が低い)
30年前に比べ、カビやダニの発生率は10分の1以下に減少している
これらの情報は、カビに対する私たちの認識をちょっと変えるのではないでしょうか。必要以上に恐れるのではなく、正しい知識を持って対処することが大切です。
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